冬に公開された中国歴史映画の大作『墨攻』。
この映画の原作コミックのさらに原作小説が僕の敬愛する酒見賢一作品です。
劇場公開時も見に行きたかったのですが行けず。
で、DVD買うぞと発売前からアマゾンで予約。
にも関わらず、品切れが続き発売一ヶ月経ってようやく届いた。
なんで発売前から予約してるのに品切れで入荷待ちになるのよ。
と、いろいろと不満はあるがアマゾンだし仕方ない。
感想なので、以下ネタバレ満載です。
そんなこんなでようやく見ましたよ。
おもしろかったです。
防衛戦は結構迫力もあり、逸悦は美人だし。
アンディ・ラウ演じる革離はかっこいい。
原作みたいに禿げてませんけどね。
でも、小説のイメージがあるせいかしっくり来ない。
直接の原作であるコミック版を読んでないのもあるかもしれませんが、ストーリーの流れがなんかいまいち綺麗じゃないというか。
小説版は全体の流れがシンプルでまったく無駄が無い。
革離の考え方も終始ぶれないんです。
城を守るためにはなんでもします。
でも映画版ではストーリーの流れが紆余曲折し、革離が非常に人間的。
小説版のマシーンのような革離像とはだいぶ違います。
ヒロインである逸悦の存在が小説の革離とはかみ合いそうに思えなかったので、やはりという部分はありますが。
ストーリーでの疑問点は、王様が謀略で革離を殺そうとした理由が不明。
原作小説の冷徹な革離なら殺意の対象になるのはわかるんですがね。
映画ではどうも恨み買うキャラじゃないし王や取り巻きが言う謀反の動きなどまったく存在していない。
敵軍はとりあえず去ったように見えても、城内はまだ危機から回復していないのになぜわざわざあんなアホな真似するのか。
そして、王のご子息がバカ王のこの謀略に巻き込まれてあっさり死んでしまうし。
王自身が言っていたようにこの国の希望だったように見えるんですが。
弓勝負で見せるようなまだまだ世間知らずな面はあるけど。
小説では恋人を斬られた王子の憎悪によって戦争最終日に革離は殺されるんですが、映画ではなんでこんなめちゃくちゃな展開になってんだろ。
あと、牢獄の逸悦を探すシーン。
あれだけ長々と引っ張ってやっと見つけたのにギリギリ間に合わないのは後味が悪すぎる。
バカ王にのどを裂かれただけでも気分がよろしくなかったのに、そのうえ助からないんか。
あそこまで引っ張ったならせめて命は助けてください。
それから革離が人間的に感じる理由の一つでもありますが、映画版には革離の超人ぽさが無いんですね。
寝る間を惜しんで村人達をユニット化し、戦闘・工作部隊としてそれぞれにつねに的確な指示を1ヶ月の間出し続ける。
いざ戦闘が始まれば、あらゆる敵の攻撃に対し、あらかじめ事前に備えた防備で完膚無きまでに打ち負かす。
映画版では七日かけて頑張って作った砦は戦闘であっさり突破されるし、わざわざ敵の攻め手を偵察に行ってから坑道戦の対策立てるし。
その上偵察中にバレて捕まりそうになるし。
これは墨者としてちょっと落ちこぼれじゃないのかと思ったりしてしまう。
監督が描きたかったのが墨家思想の非攻兼愛。
ようするに平和思想がテーマなので戦闘マシーンな革離ではそぐわないというのはわからんでもないですが。
しかし、原作小説の緻密な戦闘マシーンな革離知ってるとなんか映画版の革離は微妙にへぼい。
とまあ、ストーリーの流れも全然違うし、革離のキャラも運命もまったく違う。
小説版と映画版は完全に別の作品ということですね。
おもしろいのですが、酒見ファンとしてはちょっと残念。
一番の収穫は逸悦を演じてた范冰冰(ファン・ビンビン)が良かったこと。
中国では人気女優だけど日本で公開された映画では初出演だったらしいですね。
もう一回、酒見版『墨攻』読むかな。
ちなみに、墨家って何だよって人はこのサイト読むとよろし。
墨子の研究










