昨年の金融恐慌による資金調達の困難化や、任天堂ハードの躍進によって繁栄を続けてきた米国のゲーム業界が曲がり角に来ています。
そうした動きは断片的には昨年から確認できたのですが、今月に入ってからは猛烈な勢いで事態が進行していることを伺わせるニュースが次々と出てきています。
つい先日まで世界最大のゲームパブリッシャーであったEAは昨年末、看板タイトルであるニードフォースピードを制作してきたBLACKBOXスタジオをはじめとする9つのスタジオを閉鎖して従業員の1割におよぶ1100人のレイオフを発表しました。
エレクトロニック・アーツ、従業員1100人を削減へ:ニュース - CNET Japan
THQも今月発表された2008年10-12月期の決算で6億4100万ドルの莫大な損失を計上し、従業員の24%にあたる600人のレイオフを発表しています。
THQ、10-12月期決算で大幅な損失--約600人の削減を発表 - GameSpot Japan
EAに代わって世界最大のパブリッシャーとなったアクティビジョン・ブリザードも、WoW・CoD・Guitar Heroと大ヒット作連発しておきながら決算は赤字という体たらくになりました。
またとどめにはモータルコンバットを擁するアメリカゲーム業界の老舗ミッドウェイが長期にわたって続いた経営危機の末ついに破綻し、Chapter 11を申請しました。
4Gamer.net ― パブリッシャのMidwayが倒産,Chapter 11の手続きを申請
アメリカゲーム業界の続けてきた市場からの大規模な資金調達と集中投下による複数ハードでのキラータイトルの開発というスタイルは金融危機による資金調達が困難となったことで明らかに曲がり角に来ているようです。
他とはまったく異なったハード特性を持つニンテンドーDSとWiiが全世界的に支配的ハードとなった事も、ハードの違いをソフトで吸収する米国型開発スタイルを時代遅れの物にした一因であったように見えます。
こうした海外のメーカーに吹き荒れる逆風に対して国内勢が巻き返しの動きを強めているのも見逃せないところです。
まずは、バンダイナムコゲームズが欧州アタリの販売部門に30億円で34%の出資を行う事を発表しました。
バンダイナムコ 仏アタリのゲーム販社に出資 完全子会社化も視野
この契約には将来的に100%子会社化を認めるオプションが含まれています。
この提携によってバンダイナムコは欧州における強力なソフト販売網を格安で手にしたことになります。
バンダイナムコは販売網を獲得するだけではなく、海外における高いブランド力を持つソフト群を獲得するため国内でD3パブリッシャーの買収を行うことも発表しました。
そして、スクウェア・エニックスもトゥームレイダーで有名な英国アイドスの買収を目指してTOBを行う事を発表しました。
結果的にドラクエ9の延期が発表されるのとほぼ同時に国際戦略にかかわる重要な決定が発表されることになりました。
スクエニ 英国の有力ゲーム会社Eidos買収発表 100億円超で
バンダイナムコ・スクエニは共に海外ゲーム業界が陥っている危機的状況と金融危機以降進行する急激な円高を背景に友好的方法によって最大限のバーゲン買いを実現したものと言えます。
短期的に現在の経済状況が好転する兆しは無く、海外パブリッシャーの経営の綱渡り状況と円高傾向は続く可能性が高いためバンダイナムコ・スクエニに続いて海外ゲーム業界へとM&Aを行う国内勢が出現する可能性は高いでしょう。
ついこの間まで国内ゲーム産業の斜陽が叫ばれていたはずなのですが、いつのまにやら攻守は逆転してしまったようです。
今期末までにこの手のニュースはまだまだ続きそうなので要注目です。

Comments and Trackbacks