塩野さんの『緋色のヴェネツィア―聖マルコ殺人事件』を読みました。
といっても読了は二週間前ですがレビュー書くのサボってました。
さきほど書いたので掲載します。
以下のレビューはメディアマーカーとアマゾンにも同じものが掲載されています。
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狭間の時代・狭間に生きる人々の物語
この作品のキーワードを一言で表すとするならば、それは『狭間』である。
都市が主役であった時代から大国の時代へと移り変わる、まさに『狭間の時代』を生きる斜陽のヴェネツィア共和国が物語の主要な舞台であり、ある意味で主役そのものでもある。
そして、大国間のパワーバランスの変化に対応し都市国家が生き延びるための死にものぐるいの諜報戦の現場に送り込まれた主人公マルコ・ダンドロの目を通して『狭間の世界』に生きた異邦人の生き様が描かれる。
多くの日本人にとっては身近ではない、この『狭間の世界』に生きる異邦人アルヴィーゼの悲しい生き方こそがきっと塩野氏がこの物語で描きたかったものなのだろう。
多くの歴史著作はその時代、世界を俯瞰的に上から描くものだ。
しかし、それだけでは世界・時代の動きを眺めることは出来ても、その時代そこに生きた人々の息吹は伝わらない。
だからこそ歴史小説という分野が必要になる。
この小説を読むことで知識の上に展開されたヴェネツィア共和国や地中海世界がまさに生きた世界となり、そこに暮らす人々が見たであろう景色がリアルかつ鮮やかに蘇る。
この小説とセットでヴェネツィア共和国という国家と歴史を俯瞰的に描いた『海の都の物語』も読んでおく事で、この小説世界により深くどっぷりとはまれるだろう。



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